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けたたましいアラート音が至る所で鳴っている。

残り15分で地球に、しかも日本に向かって直径9マイル(約15キロメートル)の巨大隕石が衝突するらしい。

道路やオフィスに立ち尽くす人。必死に誰かに電話をかけようとする人。地下に走る人。怒る人、泣く人。怒号、クラクション。警察や救急のサイレン。

私は地球最後の日にむしろ冷静だった。

ニュースやラジオでは、必死に頑丈な建物の中や地下に身を隠すようアナウンスが流れる。内心、そんなので助かるのか、と疑問に思いながら刻々と時間は過ぎていく。

私は一応壁を背にして膝を抱えて座った。
最期に妹と唯一の親友にメールを送る。
窓から覗く空を見上げる。いつも通りの青空だった。

ダメ元で、スマホの中の着信履歴やメール送信の履歴を漁る。届かないとしても、人生で一番愛した人に、ありがとうとだけ伝えたかった。

全てを削除したと思っていたのに、意外にも連絡先に、捨てアカ用のメアドが残っていた。

男性の声のアラート音が急かすように残りの分数を伝えてくる。

私はゆっくりとメールを送った。


同時に、衝撃波が大地を駆け巡った。
建物のコンクリートやガラス、塵や岩、石が粉塵となって大気に舞い上がり、摩擦による稲妻や火災が発生。太陽光が遮断され、硫酸の雨が降り注いだ。

隕石はクレーターを作りながら、巨大津波を引き起こし、地球全体を覆う。

世界は終わった。

「あなたとの思い出が私を支えてくれていた。ありがとう。いつか、また会いたい」

題:明日世界が終わるなら

5/6/2024, 5:21:52 PM