夜空で嘲笑うかのように光っている満月。
立入禁止の看板を無視し、建設途中のビルへ入り、階段を昇って最上階へ向かった。
最上階は、まだフェンスや安全柵などはない。
一歩ずつ前へ進み、落下するギリギリの所で止まる。
そして、最上階から身を投げた。
落下している感覚はあるが、周りは真っ暗で何も見えない。
落ちたら……痛いだろうな……。
痛みを感じずにそのまま──。
ドスンッ。
あれ?痛くない……?
最上階から落下したはずなのに。
落下した場所には、ゴムマットが積み重なっていた。
どうやら、これがクッションになったらしい。
空を見上げると、満月がこっちに向かって光を照らしていた。
10/30/2025, 10:12:59 PM