星、夜に光る星

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目が覚めた。すると、
とても静かな夜だつた。
雪灯に目が覚めると言うが、それは本当にそうなのであろう。本当にそうなのだ。
自ら光を発せない、明日には溶けているやうな儚い雪が、光つている。
地に積もりて原となり、一斉に光源と化しているのだ。

だが一概に光源と云うものの、眩しい訳では無かつた。
その光は、月光の優しく冷たい光が更に冷たく優しい雪原にゆっくりと染み渡り、その美しさ故に震えた雪が、堪え切れずに漏らした白い溜め息のやうな光だつた。

穏やかに光つている。
この冷たい世界の季節の中で。
か細く光つているのだ。
この暗い世界の闇の渦の中で。
だから、良いんじゃないか。
暗闇の中での光はよく映える
だから私は目を覚ました。

世界に取り込まれた夢の中から
喧騒に満ち溢れた夢の中から、
静寂な優しい光に触れて開く。
疲れた目前に広がる白い雪灯、
大好きだよと言わせて下さい。
その光で目覚めた夜は幾分か、
穏やかな気持ちになれるから。



題材【雪の静寂】より

12/17/2025, 8:50:42 PM