「私とあなたじゃ住む世界が違う 第十二話」
志那は、元気がありませんでした。
「空想の世界の事、誰も信じてくれない…」
自分しか見えない空想の世界。その現実に志那は押しつぶされそうになっていました。
「気分転換に公園に行こう。家でふさぎ込んでも落ち込むばかりだし」
志那は、公園に行く事にしました。
「公園に着いたけど、相変わらず人少ないなぁ」
志那は、公園を散策しました。
「この公園、木々や花壇がいっぱいだから、気分転換になるんだよね」
志那は、しばらく歩いていると、アメジストの姿を見つけました。アメジストは、薄いベージュの肌、紫の流し目、薄紫色の無難なショートヘア、中肉中背のスーツ姿の紳士的な大人の男性です。
「アメジストさんじゃないですか」
「君はあの時の…えーと、名前は…」
「斎藤志那です」
「志那ちゃんだね」
アメジストは、営業スマイルをしました。
「アメジストさんは、休みの時はいつもここに来るんですか?」
「あ…実は、本人の事はココまで詳しくは知らないんだ…」
アメジストは、コリャマズいと言った顔をしました。
「ひょっとしたら、アメジストさんって空想の世界の人ですか?」
「そうだよ。俺は現実世界のアメジストじゃないんだ。俺と現実世界とは関係が無いんだ」
「(じゃあ、私が今まで会ってたアメジストさんは空想の世界の方なんだ…)」
志那は、自分が知るアメジストは空想の世界の方だと悟りました。
「アメジストさん、私、変な話するけど…聞いてもらえますか?」
「良いよ。何でも言ってご覧」
志那は、意を決してアメジストに悩みを打ち明けました。
「私、饅頭って言う妖怪に出くわしたんです。何か、まったりがそのまま現実世界に来たみたいな…そして、饅頭が襲いかかって来た時にカインドが助けてくれました。カインドは、クラスメートがその名前で活動しているから、その人そのまんまみたいな姿です」
アメジストは、志那の話を聞いていました。
「カインド達は、姿が私以外には見えないから、ココに居るって言っても誰にも信じてもらえない。空想の世界の話したら、変な人って見られちゃうし…そりゃあ、そうですよね。常識ではあり得ないから…」
アメジストは、志那の話を優しい表情で傾聴していました。
「この悩みって、自分にしか分からないのかな…?誰にも分かってもらえない…」
志那の目から涙が溢れました。
「志那ちゃん、俺は空想の世界の住人だから、分かってあげられるよ。だから、ホラ泣かないで」
アメジストは、志那の涙を拭ってあげました。
「志那ちゃん、コレから空想の世界の話をするけど、良いかな?」
アメジストは、空想の世界の話をし始めました。
9/10/2022, 10:24:28 AM