つつも

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【10年後の私から届いた手紙】

学校から帰ってくると、机の上に手紙が置いてあった。郵便受けに入っていたのを、お父さんが見つけて置いたようだ。
封筒には私の名前だけ。差出人は書かれておらず、シンプルな便箋だった。
誰かも分からないうえ、この時代に手紙?と思いつつも、中身が気になった私は封を開けた。
半ば、昔にあったという不幸の手紙だったらどうしようと思いながら。

最初に目に飛びこんで来たのは、「10年前の私へ」という文字だった。

「10年前の私へ
この手紙が届いた頃、あなたは10歳の誕生日を迎えたよね。
お母さんが居なくなっちゃってさみしいだろうけど、慣れたかな?
お父さんを支えてあげててえらい!
たくさん遊んで、勉強も頑張ってえらいよ!
大丈夫。今はさみしくても、辛いことがあっても、10年後あなたはたくさんの幸せにかこまれてるからね。10年後の私はとても幸せだよ」

そんな内容の手紙。私は、何となくこの手紙を書いたのは病気で亡くなったお母さんだと思った。
未来から手紙なんて届くわけない。住所も、切手だって無いんだもの。
それでも、お父さんは10年後から手紙が届くなんて不思議だなぁ、なんてとぼけていたので、私もそれに合わせた。

そして、まさにその10年後。
私は運命の人と出会い、今は結婚を前提に付き合っている。
手紙は今も大事にとっており、私の宝物だ。

2/15/2024, 12:13:35 PM