3ヶ月前、告白された。そのとき僕は彼女のことが好きなのか分からなかった。断るのは彼女に悪い気がして、僕らは付き合うことになった。
付き合うとは言ったものの、何をすれば良いのか分からない。なにか特別なことをしようと思っても、行動には移せなかった。僕がうだうだしているうちに1ヶ月が過ぎ、僕の誕生日を迎えた。彼女は僕に「次の休みに一緒にお出掛けしよ!」と言ってきた。僕は彼女を悲しませたくなかったので彼女の提案に乗った。
お出掛け当日、何事もなく1日が終わった。彼女の言われるがまま、最近流行っているらしい食べ物を食べ、最近話題の映画を見た。彼女は楽しかったようで、「また一緒にお出かけしようね!」と言っていた。正直僕はそんなに楽しくなかった。また次があるのかと思うと嫌で仕方ない。
付き合って3ヶ月が経った。彼女とは付き合い始めた頃よりも親密になったとは思えない。あれから何回か一緒に出掛けたが、僕は全然楽しくなかった。もうこれ以上我慢していると僕が僕でいられなく気がして、彼女にすべてを打ち明ける決意をした。
ある日の放課後、僕は彼女を学校の屋上に呼んだ。彼女はいつもの笑顔で「君から呼ばれるなんて初めてじゃん!どうしたの?」と言ってきた。僕は付き合ってからの3ヶ月間の気持ちをすべて彼女にぶつけた。
「僕さ、付き合い始めてから今日までずっと君が好きなのか分からないんだよ。一緒に出掛けたとしても君の行きたいところばかりでつまんなかったよ!もうさ、僕たち、別れよう。このままだと、僕にとっても君にとっても良くない気がする。…君のことは、嫌いだ。」
僕は逃げるようにして屋上を離れた。僕は彼女を好きになれなかった。最低な彼氏だった。でも、これで良かったんだ。
付き合って3ヶ月で私たちは別れた。ずっと彼のことが好きだったのに…。「嫌いだ」と言われても、好きになった彼のことを忘れられない。教室で一生懸命に授業を受けていた彼。友人にたまに見せる、笑顔と笑い声。私はそんな彼が大好きだった。テストの成績は常に上位で私とは比べ物にならないくらい頭が良い。私はそんな彼を憧れてもいたのだと思う。彼と一緒にいたい。彼の笑顔を間近でたくさん見たい。そう思って付き合った。お出掛けという名のデートを重ねるたびに彼の笑顔が減っていたことは薄々勘づいていた。でも、そんなの私のせいじゃない。そう思い込んでいたものは、今日、彼によって壊された。別れても、私はずっと彼が好きだ。
※フィクション
【お題︰好きになれない、嫌いになれない】
4/29/2025, 3:38:00 PM