『いつも1人』
鍵を挿して横に回す。ガチャンという音を聞いて冷たい取っ手を掴んだ。
「…ただいま」
そう言っても言葉が返ってくることはない。無造作に鍵を玄関の棚に置いた。
今日は……もういいな。もう何もしたくない。食欲もないのでもう今日は寝ることにした。メイクを落とし、お風呂に入る。適当に保湿をし、髪を乾かした。この間も家に人の気配を感じなくて寂しくなる。
片付けは明日でいいやと明日の自分に丸投げし、ベッドに潜る。
彼は忙しい人だ。何の仕事をしているかは教えてくれないが、彼には大切な仲間がいるということは知っていた
。でも、私が知っている彼の情報はそれだけだった。付き合えたのも私が押して押して押しまくった結果だった。かなり迷惑だったよね、とあの行動を今更後悔している。
デートもしたことがない。会うのも月に2回あればいい方。でも、1度だけ私の家に泊まったことがあった。あの日は予想以上に雪が降って、危ないからと私が無理やり引き止めたのだ。その時、ベッドで彼と一緒に寝た。特に特別なことは起きなかったけれど、いつもより暖かい空間に思わず頬が緩んだ。
その時と比べて今はどうだろう。1人、冷たいベッドに横たわっている。何時まで経っても冷たい布団が身に染みる。
零れる涙を無視し、目を固く閉じた。
【寒さが身に染みて】
1/11/2026, 1:13:06 PM