はなればなれ
はなればなれになったら困る物
靴下.箸.眼鏡 など...
靴下や 箸は、まず 対(つい)になって
いないと 機能を果たさないし、
眼鏡は、掛けている者にとっては
どこに 置いたか分からなくなって
はなればなれになると
それだけで困る。
かく言う 私も 今 眼鏡を探している。
なかなか見つからないので
私は、妻を呼んだ。
「叶恵 私の眼鏡を知らないか?」
「お昼までは、掛けてたでしょう?」
叶恵(かなえ)は、食器洗いの手を止めて言う。
そうだ! 確かにお昼までは、掛けていた。
では、その時に どこに置いたかが
問題だ
それが、思い出せないから困っているのだ
完全に手詰まりだ 途方に暮れるしかない
物というのは不思議なもので
普段そこにあると思っているものは、
なかなか意識しない
ほとんど 無意識の状態だ。
そして 不意に存在を 意識すると
途端に 手放した事を 思い出せない
どこで 手放したか その場面すら
思い出せない...
有るのが 当たり前になっている。
だから無くなったと 思うと
不安になるのだ。
探している時だけその物に
時間を掛けて 有り難みを知るのだ。
私が、お手上げ状態で うんうん唸って
いると...
妻から 声を掛けられた。
「和室の タンスの上にあったよ!」
なぜ そんな所に 全く覚えがない
探していた所とは、全く見当違いの
所から 出て来た。
いやはや はなればなれにならないと
分からないものもある。
11/17/2023, 12:46:18 AM