ぱたん、とトイレのドアを閉めた直後。
なんで、どおして、と言っているような、飼い猫の哀れな鳴き声がドア越しに聞こえた。
世界的な“アレ”のお陰で自宅でお仕事が出来るようになり、引きこもりのような生活が三年弱続いた結果。
飼い猫が分離不安症になってしまった。
もう、何処にでも着いてくる。
一瞬でも席を立てば、寝床から真ん丸な目でコチラを凝視し、5メートル離れればダッと駆け寄ってきて足元にすり寄ってニャーニャー。
いきなり飛び起きたかとおもったら、涙目でクルクル鳴きながら、服の中に入ってきたり。
何か重い病気なのでは、と心配になって獣医に診てもらったら、分離不安症と診断されて、少しだけホッとした。
トイレのドアをトントンと指先で叩いてやる。
何かを発見した時の声を発しながらガリンガリンと爪を立てる音がして、ドアがガタガタと揺れた。
……キャットドアを取り付けるべきかな?
その揺れはトイレを出るまで続いた。
テーマ「ごめんね」
5/30/2023, 6:08:18 AM