いろ

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【特別な夜】

 何が楽しいのかもわからない宴会を終えて、終電に飛び乗って自宅へと戻れば。消して出かけたはずの部屋の電気が何故か煌々と点いていた。
「あ、おかえり。遅くまでお疲れ様」
 にこやかに笑った君がひらひらと手を振っている。想定外の姿に思わず目を瞬かせた。
「来るなんて言ってなかったじゃん」
「うん、言ってない。でもなんか疲れてそうだなぁって思ったから、勝手に来ちゃった」
 何だよ、それ。力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。相変わらず君には敵わない。
「せめてソファに座ろうよ、ね?」
 よしよしと頭を撫でてくれる君の手の温もりが心地よくて、張り詰めていた神経がゆっくりと和らいでいく。――君がいる。それだけでくだらない日常だったはずの夜が、特別な夜に変わるんだ。

1/21/2024, 9:50:01 PM