大きな白いものが、揺れていた。
僕はベッドの上でぐっすりと寝ていたのだけど、目にちらちらと黄色い光を感じて目を覚ました。
うっすらと目を開けると、ばさっと音を立てて白いものが揺れていた。
その揺れは心地よく、見てると大好きだったあの場所を思い出した。
あの場所。
暖かくて、いつもぼわぼわとくぐもった音に囲まれてて、そのくせ静かなあの場所。
安心安全なわ僕の真っ暗闇。
あれは、あの場所は、どこだったかな…?
揺れる白いものを見ながら、僕は再び微睡む。
今はその名を知っている。
あれは窓辺にかかったカーテン。
風に揺れ、大きく膨らみ、はためいていた。
今思えば、海の波のようだった。
揺れるカーテン。
この世に生まれ落ちた僕が、一番最初に出会った風景。
10/12/2022, 7:08:38 AM