星を追いかけて
世界を3周くらいした私の話。
私がそれほど幼くない頃、
流星群を見るために丘に行った。
たくさん星が降っていて
すごく綺麗だった。
少ししてから
虹色の光を振りまいて
太陽を単純化したような形をした、
一番綺麗な流れ星を見つけた。
あれは幸せそのものかも。
あれがあれば幸せで、
あれについて行けば幸せで。
そう思ったら
勝手に身体が動いた。
自分に出せる最高速度で
走って追いかけていた。
星はだんだん
流れていくスピードが落ちてきて
歩いてでもついていけるくらいになった。
そこからはラッキーで幸せなことが続いた。
道を見ると毎日お金が落ちていて
そのお金で食べ物も
飲み物も寝床も手に入った。
たまに降ってくる星の虹色の光は
小さな光の人になって
服やトランクを出してくれた。
星を追いかける前は
ずっと変わらなくて
味気ない毎日に正直嫌気がさしていた。
だからこんな、
毎日違う場所を歩いて
景色を眺めて旅するのは
すごく楽しかった。
何年か経った時、
世界を1周したことに気づいた。
あの丘が見えたから。
星はまだまだ流れていく。
私はこの楽しい毎日が
日常となって
当たり前だと思うようになっても、
追いかけたいと思った。
私は迷うことなく丘を過ぎ、
また星を追いかける。
"Good Midnight!"
世界を3周くらいした頃、
ちょうどあの丘で
星は降ってきた。
そして今までよりもっと多くの
虹色の光を振りまいて
もう大丈夫、と
私を安心させてくれるような
そんな間隔へと誘った。
7/21/2025, 4:09:24 PM