よつば666

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お題『逆さま』

 夏季補習二日め萌香は朝早くに教室に来ていた。
昨日の課題が終わったのは深夜1時頃、それから今日の準備をしていたら寝る時間が深夜2時になってしまった。補習で遅刻するわけにもいかず1時限が始まるまで寝ようと思ったのだ。
しばらく寝ていると、チャイムの音が聞こえて来る。
萌香は寝ぼけたまま鞄から携帯を取り出し時刻を確認してみると、液晶画面に9時50分と表示され、1時限目はとうに終わっている。寝過ごしたことに気づいていたない萌香に隣の席にいる大神が小声で話しかけた。

大神「おはようさん。2時限目始まったで」

大神の声が耳に入り、運命の人から声を掛けてもらい萌香は嬉しさのあまり大きな声で大神に挨拶をしてしまった。

萌香「お、おはよう!!早いねっ」

すると同じ教室に居た生徒が一斉に萌香に注目した。大神は目を逸らしくすくすと笑を堪えている。

大神「ちゃう、ちゃう。早ないって((笑))。自分起きるん遅すぎやわ」

萌香の目の前に樺本(かばもと)がやって来た。

樺本「お早う。輪通(わづつ)さん。随分気持ちよさそうに寝ていたわね。昨晩は何をしていたのかしら?」

樺本は笑顔を見せているが、目が笑っていないので萌香の目には不気味に映っている。それが怖くて樺本から目を逸らし答えた。

萌香「き、昨日の課題の残りをしていました」

樺本「そう。終わっているの?」

萌香「は、はい」

樺本は萌香から課題を受け取ると本日の課題だと言って萌香に手渡した。

樺本「次からは1時限目始まる前にアラームをかけなさい。明日も同じことしたら賄賂……いえ。ペナルティーだから」

萌香「は、はい」

萌香は、鞄から教科書を手に取り本日の課題プリントを進めていく。さっきからプリントの文字が逆さまに印刷されていることに気づきいた。これは誤字だろうか?萌香は大神に自分のプリントを見せて確かめてもらうことにした。

萌香「あの、えっと大神君。あたしの世界史の課題だけかな?文字が逆さまなんだけど……」

大神「ちゃう、ちゃう。輪通(自分)だけじゃないで俺も今、それやってるけど同(おんな)じやから」

萌香「そうなんだ。あたしてっきり樺本先生の嫌がらせかと思っちゃった」

大神「どうやろうな……あの先生(せんこう)性格曲がっとるからやりかねんわ」

樺本「大神君、輪通さん。二人とも静かにしなさい。次話たらペナルティーで課題増やすわよ」

大神と輪通は互いにごめんとアイコンタクトと手で交わし、課題に集中することにしたのだった。

End

12/7/2024, 8:12:28 AM