"安らかな瞳"
朝起きてこれはおかしいとすぐに思った
息が苦しい
腫れ上がっていると感覚でわかるほどに喉が痛んでいる
頭が熱くてツキンツキンと痛み、対して首から下は冬用の布団を被っているというのに震える程に寒い
喉が渇いた
「くそ…」
1人しかいない暗い部屋で、掠れた声が響く
そんな声も籠って聞こえて、耳もおかしくなっていることに気付いた
なんとか布団から起き上がると、次第に関節が痛む
呼吸をするたびにヒューヒューという音が聞こえて、具合が悪いことを否が応でも自覚させられる
台所へ向かい、コップを手に取る
蛇口の下にかざしたその手は震えていて、今にも落としてしまいそうだった
水が音を立ててコップの中に落ちる
半分を満たしたところで水を止めた、それ以上入れては落としてしまいそうだったから
慌てて両手で包み込み、近くの椅子に腰を下ろす
水を一口嚥下すれば喉が痛み、腫れているせいか空気まで一緒に飲み込んでしまった
不愉快な感覚を飲み下し、ふぅと息をつく
ふと隣の窓ガラスが目に映る
涙で潤み、蕩け切った瞳を見つけて
恋をした時、人はきっとこういう瞳をするのだろう
と、思った
鼻も頬も赤くなり、髪は無造作に束ねられている
私は喉の不快感に咄嗟に咳をする
荒いやすりをかけられたような喉の痛みに悶える
その痛みから出た涙を拭い、残りの水を捨てて部屋に戻った
3/15/2026, 8:35:39 AM