ラブソング
人生で一度だけ、ラブソングの歌詞を書こうとしたことがある。
友人の彼氏がアマチュアバンドをやっていて、オリジナル曲の作詞を頼まれたのだ。
メンバーに歌詞を書ける人がいないからと、本好きというだけでなぜか私に白羽の矢が立った。
テキトーでいいから、いつでもいいから、あ!ラブソングでお願いね!
とお酒のノリで何となく話が決まり、テープを渡されたものの、私はすぐに頭を抱えることになった。
曲は何だかとてもガチャガチャしていて、サビもよく分からない。
夜な夜な悩んで、どうにか言葉を絞り出したころ…。
なんと友人が突然彼氏と別れてしまった。
そのまま作詞もうやむやになって二十年。
「あの時はホントにごめん、今思い出しても腹が立つわ」
という友人は、今だに元カレの当時の浮気を許していないようだ。
どんな歌詞を書いてくれてたの?と笑いながら聞かれるが
「覚えてないよー」
と私も笑って答えている。
はい、本当は覚えてます。
♪真夏の恋 焼けた喉 僕を潤す冷たい刺激 君はサイダー♪
…的なことを書いてました、早く忘れてしまいたい。
5/7/2025, 4:42:25 AM