『1000年先も』
『──さんはさ、人間として生きて死にたかったんじゃないか?』
「今更ですね。でもまぁ、昔はそう願ってましたよ」
『昔は?』
「今は君と永遠を生きるのも悪くないと思いまして」
1000年先も、彼は16歳を繰り返す。
それは、オレが彼に掛けた呪いだから。
初めて彼と出会った時、彼は人間としての終わりを望んだ。だけどオレはどうしても諦めきれなくて、『転生』の呪いを彼に黙ってかけた。それから、彼は毎回彼のまま転生して、オレと恋人になった。
呪いのことは、一切教えなかった。
だけど、今世の彼はオレの呪いを見破った。
「どうして黙ってたんですか」
そう言って、彼はオレを叱った。呪い自体は責められなかった。
彼には、彼の信じる死後があったというのに。
オレを責めない代わりに、彼はオレに約束を取り付けた。
「1000年先も、いや、永遠に僕を隣に置いてくださいね」
───君のとなりには、僕以外ありえないのだから。
2/3/2023, 10:16:17 AM