白部しゅな

Open App

2025/12/25/木/遠い日のぬくもり


 明日は結婚式だ。彼氏の空も私もなんだかそわそわ、としている。

 仕事が終わって、アパートの一室に帰り、夕ご飯を一緒に食べた。
 お風呂が沸くまでのなんだか微妙で中途半端な時間。私は明日の予定が書かれた紙をぺらっと見たり、くるくる回したりしていた。

「俺、アイス買ってくるよ。理沙も一緒に来る?」
「うーん、行かない!私はパピコがいいです!」
「わかったわかった笑笑。じゃ、行ってくる」

 ぱたん、と扉を開けて空は外に出て行った。なんとなくさみしくなって、さっきまで飲んでいたノンアルの缶を片手にベランダに出た。遠ざかる空の背中をみて、やっぱり空って良い彼氏だな、なんて思う。

「……紹介したかったな」

 私のお母さんとお父さんは幼いころに事故で亡くなっている。ここまで私が生きてこられたのは間違いなく両親からの愛情があったからだ。
 撫でてくれた手、抱きしめてくれた体に感じたあたたかいぬくもり。
 三人で歩いた道は、いつだって私が真ん中で、二人の手を握っていた。
 辛い時もしんどかった日だって、あの遠い日のぬくもりがあったから頑張れた。

 お母さん、お父さん、私明日結婚するの。
 紹介したかったな、私の彼氏。笑顔がかわいくって、とても優しいの。



「なにしてるん?さむいからこっち来な?」

 振り返ると、空がコンビニの袋を片手に立っていた。

「はーい」
「アイス、体あったまってから食べるんだよ、風邪ひくぞ~」
「あいあい」

 いつのまにか指先が冷たくなっていた。あたたかい室内へ足を踏み入れる。
 明日の結婚式はきっといい日になるだろう。

12/25/2025, 2:22:56 AM