《哀愁を誘う》
高校受験を控えている2人の男子中学生の会話ログ。
「金剛、次のテスト範囲を教えてくれないか?」
「あ、飯田橋君!勿論いいよ。教科書のここから…」
「62点か…金剛は?」
「100点!」
「流石だな。」
「へへ、お母さん喜ぶといいなぁ」
「そうだな。…お昼は食べたのか?」
「まだだよ。飯田橋君は?」
「あー…お腹空いてないからな。金剛の見とく。」
「ちゃんと食べないとダメだよ?いただきまーす!
…んー!今日の玉子焼きは甘めだ!飯田橋君も食べて!」
「ん、…む。……確かに甘くて美味しいな。ありがとう。」
「どういたしまして!やっぱりお母さんの作るお弁当は美味しいなぁ〜!」
甘さとは正反対の、飯田橋の口に広がるしょっぱい玉子焼きが彼の哀愁を誘った。
今日も”金剛 日向”は砂を食み、空想の味を楽しむ。
”神様”から与えられた餌を、残すまいと必死に。
11/4/2024, 1:11:23 PM