今日も夏の匂いがする。
私は夏の匂いが嫌いじゃなかった。切なくても、君との思い出の匂い。
ねぇ、君は今何をしているのかな?私と同じ思い出の匂いを嗅いで、いや思い出して、かな。もし君が私と同じなら少しだけ嬉しくなっちゃうんだ。
君も同じなら、私にとって毒になるこの匂いも少しだけ好きになれる。でも、君が私と同じこの匂いを思い出すことはないんだろうな。
この匂いをきっと君は知らないから。
君がつけた柑橘系の香水の匂い。変に爽快で鼻をスゥッと通る匂い。
君は香水がある部屋には私を入れようとしなかったね。香水をつけるようになってから、君は私と会うことも減ったよね。丁度このくらい暑い夏の日だったかな。
ねぇ、なんでまた泣いてるの?私は幸せだったよ?
色んなお洋服を着せてもらって、美味しいご飯をもらって、君と寝て、君がいない部屋で君を待つ。全部楽しくて幸せだったよ。ありがとう。
君が香水をつけたから私が最期を迎えたんじゃないよ。もう十分生きたんだよ。
私の言葉と君の言葉は違うけど、最期に伝えられたかな?
ニャアってさ。
7/1/2025, 1:57:17 PM