黒にゃんこ

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僕ね大家族で育ったから、反動で一人暮らしを始めた時の解放感が強烈で、もう誰かと暮らすのは無理だと思ってた。
内緒や秘密どころか、時間も場所も窮屈な隙間に捻じ込まれて、ごちゃ混ぜで境目は曖昧だったんだ。
この部屋の全てが自分だけのものってラインがくっきり引かれた時の安堵が忘れられない。

今、パジャマのまま無造作に頬杖をついて顔をむにゅっとさせてる君を見つめてる。
「コーヒーでいい?」
「イチゴミルクのやつがいい」
当たり前に注文をつける君が、むにゅっとしたまま僕に笑う。
大きなあくびもうちじゃ隠さない君。
そのくせ風呂上がりに裸でうろちょろしたりは絶対にしない。
君の秘密のハードルは高くて低い。

この屋根の下ではNo secretと唇に人差し指を立てる君の矛盾が滑り込む。
ああ、君と同じ鍵で。





「秘密の場所」「嗚呼」

3/10/2025, 2:59:15 AM