"遠くに行きたい"
「ママ…パパ…」
私は、ある日ママとパパに家を追い出された。
「ねぇ、嫌だよ!ママ!パパ!」
「うるせぇ!もう帰ってくんな帰ってきたら殺すぞ!」
「パパ…」
あんたなんて産まなきゃ良かった
前にママに言われた言葉が胸に刺さる。
ガチャ
ドアを閉められ、私は暗闇のなかただ走った。
遠くに行きたくて、とにかく、遠くに行きたくて…
涙なんてものは、もう枯れ果てた。
そんな私と比べるように、雨が降る。お空も悲しいのかな?泣かないで…
夜は長く、苦しかった。
その苦しみから解放されたくて、ただ走った。
寒くて、苦しくて、寂しかった。
私の体力は底をつき、もろいガラスのように崩れ落ちた。
死にたくない…死にたくないよ…ママ、パパ…
暗くて怖い、この状況を変えたくて、変えて欲しくて…
私は生きようとする。…でももし、死んでしまえば楽になれる…?もし、考えるのをやめて目を閉じればそこは…
手が震える。なんで?もういいじゃん…私の光なんてないんだよ、。わかってるのに…わかっているわずなのに
私は醜く足掻く…雨が降っている空に手を伸ばす。
星が、私を照らしてほしいと願って…
「たすけて」
私の意識はシャットダウンした。
暖かい…
「…っ、ここは…」
ふわふわのベット…明るい部屋…美味しそうな匂いもする…ここは、天国?
私は訳がわからないまま、寝室をでて美味しそうな匂いをする方へと向かった。
「スゥー…」
怖かったけど、勇気を出してドアを開けた。
ガチャ
『あっ起きたのね!』
そこには、3人のお姉さんたちがいた。
「…誰…」
『ごめんなさい、自己紹介がまだたった!私はきづみ』
『私は、ゆきね!』
『私は、ともさ!』
「うん…」
き『君の名前は?年齢は?』
ゆ『そんな聞いたら、可哀想でしょ、きずみ!』
と『お名前は何て言うの?』
「えっと…なみ。8才…」
と『8才?!』
み『まだ、ベビちゃんやん!』
ゆ『てか、8才のわりにガリガリじゃない?』
ゆきねが、ボソッと言った。
と『確かに…』
この人たちは、なんで私を助けてくれたのだろう。
もし、助ける以外の意味があるなら…
「…ここは、どこですか」
み『ここはね、安全な家だよ』
そうか、ここは…安全…
と『あぁ、そうそう貴方、路地裏で倒れてて顔真っ青だったから、拾ってきたの!今日からよろしく!なみちゃん』
最初は、何もかも疑っていたが、とても優しいお姉さん達だ。
ゆ『ご飯作ったから食べて!全員成長期なんだから!』
と・み『『お母さぁん』』
ゆ『ちゃうわ!!』
この人たちは、本当に仲が良くて見ているだけで楽しくなる。
「ママ…パパ…」
それでも、あの記憶が視界に入る。
と『…大丈夫?顔色、真っ青だよ』
き『ベビちゃん、無理しないでね』
「大丈夫」
私は、いつも冷たい対応をしてしまう…誰に似たんだか
ゆ『ご飯、冷めちゃう前に食べちゃいな!美味しいと思うよー!』
カレー…?暖かい…
「食べていいの…?」
と『いいよ〜』
「…い、いただきます」
ポタ、ポタ
「お、美味しい…!こんな、こんな…美味しいご飯初めて…」
それから私は、この人たちにとてもお世話になった。
き『ベビちゃん〜可愛いねぇ、ハグしよー』
と『ね!なみちゃん、これあげる!ぬいぐるみ!』
ゆ『なみちゃん!ご飯、あじみしてくれない?どう美味しい?』
ともさ姉さんは、恋物語が好きなおもしろい人。感情表現がとても面白くて可愛い、
ゆきね姉さんは、3人の中で1番に頭がきれる人。正論パンチがすごい。
きづみ姉さんは、私の事をすごい可愛いがってくれる人
私の事をベビちゃんという。
「ともさ姉さん、紙で手切っちゃった」
と『えっ?!大丈夫?きづみ〜そこにある、絆創膏とって〜』
き『YESYESー!』
ゆ『ごめん、私の不注意でベビちゃんの指が…』
「大丈夫!ゆきね姉さんもベビちゃんって呼びの〜?」
ゆ『いいじゃない!ね、きづみ!』
き『可愛い私の子』
と『はぁ?なみちゃんは、うちの子ですぅ!』
ゆ『はぁ、ベビちゃんは、きづみと、ともさの子じゃないでしょ、ワタシの子だから!』
と・き『『はぁ?!』』
「あははは」
私も、笑っていいんだ。誰がの事をきにして独りで遠くに行かなくていいんだ。楽しいなぁ
ホォーホォー
ある日の夜、フクロウがホォーと鳴く夜。私はふと目が覚めてリビングに向かった。
「10時か、まだ姉さんたち起きてる時間だ!ちょっと遊んで、もらおうかな〜」
私は、リビングに向かう廊下で足が止まった。
「(廊下で姉さんたちの喋り声がする…)」
私は、コソッと聞き耳をたてた。
ゆ『はぁ、疲れたね〜』
と『そうだね。てか、明日例の日だ。準備できてんの?』
き『本当…寂しいなぁ!』
と『思ってない事言うなよ』
き『思ってるさ、ちゃんと、本当に悲しいよ。ただそれだけ、それ以外の感情がわからないのが怖いねぇ』
ゆ『ふっ同感、』
「(なんの話だ?)」
と『これで、9人目…上手くやれたらいいんだけど、』
ゆ『やれるさ、私は結構楽しいと思うけど』
と『さすが、ゆきね姉さん♪』
ゆ『やめてくれないか、腹が立つ。』
き『喧嘩はやめてよ〜ほら、ベビちゃんも聞いてるじゃないか。バレてるよー出ておいて』
「えっ、さっきのはなんの話…」
き『もう、ベビちゃんとはお別れなの』
「そんな…なんでっ」
ゆ『悲しいなぁ』
と『また、会おうね!墓場で待ってね!
「え…だ、誰かたすけて!」
き『バイバイ"食用ベビちゃん"』
7/4/2025, 8:59:37 AM