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かつて女性は私にとって花だった。
蕾を見ると、どうにかして咲かせてやりたくなり、
花弁は無条件に愛でてやりたくなる。
花は、私の生きがい、そのものであった。



ふと顔を上にむけると、
夜空に一筋、光が流れたのに気がついた。
「あっ」

隣にいた子どもが私の声に驚き、現地語で何かを呟く。

「驚かせてごめんね、星が燃えているんだよ」

私が安心させるように彼女の頬を包み、そう伝えると、
その娘の目は、
好奇心か、燃えるように光った。
正確には、燃えているのではなく、プラズマ発光している、と言うことを説明する前に、
その娘は私の手から離れて仲間のところに戻り、
夜空を指さしながら、その瞳をキラキラ輝かせていた。

あの娘は、この先どんな人生を辿るのだろうか、
あの娘にとっての、
人生の花は一体、何になるのだろうか。

手に僅かに残った温もりの余韻を感じながら、
もう一度夜空を見上げると、
ひとつ、ふたつ、線のように流れ星が空を彩っていく。

「どうか、健やかでありますように」

今度は誰も私の言葉を聞いたものはいなかった。
日本から遠く離れた異国の大地の上で、
夜の闇に溶けた日本語。
私は、今まで私の人生に
咲いてくれた色とりどりの花々に向けて祈ったのだ。


あの娘が私の名前を呼ぶ、
空を指さしながら。

おそらく仲間たちに、
空に現れては消える、光の線がなんなのか、
説明して欲しいのだろう。

今夜は流星群のようだ。
いつもより明るく照らされた地面のおかげで、
草花を避けることができ、
私はステップを踏むように足取り軽やかにそちらに向かう。

「流れ星に願いを、花に祈りを」

私と出会ってくれた女性たちが、
今も笑っていますように。

そして、
どうか、あの人が、
今夜もよく眠れていますように。

4/26/2026, 6:57:10 AM