喫茶店で紅茶を頼んだ時、砂時計が一緒に出てくることがある。
砂時計をひっくり返して、店員さんが蒸らす時間を説明してくれて、「この砂が全部落ちきったら飲み頃です」などと言ってくれる。
こういう店に当たるとちょっと嬉しくなる。
ゆったりとした時間が流れ、スマホを少し置いて砂時計が落ちきるまでの数分間、窓から外の景色を見たり、持ってきた文庫をどこまで読めるか試してみたり、砂時計の砂がサラサラと流れ落ちるのをじっと見たり、そんな時間の過ごし方が楽しくなる。
静かで雰囲気のある店にいると、砂が流れ落ちる音が聞こえてきそうだ。
そういう店の紅茶は一際美味しく感じる。
そういう店が無くならずにいつまでも残ってくれるといい。
END
「砂時計の音」
10/17/2025, 3:56:22 PM