もしも、水たまりの中に世界があったなら、
僕たちの生活はどのように映っているんだろう。
ぼやけた視界の中で、ネオンの色がギラギラと光っていて、明確な色の区分けなんてないのだろうか。信号の鳥の鳴く音がブクブクと聞こえるのだろうか。
眼鏡をかけた時みたいに、はっきりくっきり全てのものが綺麗で美しく見えるようになるのだろうか。小さな女の子が可愛らしい長靴で踏み込んできたときは、靴裏の溝が隅々まで見えているのだろうか。
雨が降っているときの水たまりは、構成要素となる水が上から降りてくる。もし彼らに感情があるのなら、「こっちだよ!待ってたよ!」なんて言っているのだろうか。そんなことがあるのなら、雨になってみてもいいな。蒸発しながら世界を見渡して、そしてまた降りてくる。きっと面白い。
空が晴れ渡り、道端に残った水たまりは、僕たちの住む世界が普段見ているものよりも一見美しく映し出しているように思う。雲ひとつない空と太陽の光を反射しているこの小さな鏡。
しゃがんで少しの間じっと眺めてみよう。
疲れ切って、余裕がない僕たちが見落としていた豆粒みたいなこの世界の素晴らしさに気づけるかもしれない。
6/9/2025, 8:37:52 AM