はた織

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 夜明けの明星が輝けば、脳髄が溢れ出す瞬間。
 記憶に渦巻く内臓を解きほぐし、細かやな糸に変じて空気の中に混ざっていく。

 煙のようにか細い糸は、夢と現実の狭間に揺れ動く。
 するりと、夢から引き揚げて今世に戻ろうか。
 ずぶりと、前世のたましいまで深く潜ろうか。

 私の脳髄の片隅に這う蚕に会いたいなと神世まで降っていくが、スマートフォンのアラーム音が荒れ狂う大海原の波の如く怒鳴ってくる。

 電磁波に支配された私の脳は、再び硬く結ばれた肉塊となって目覚めた。
                (241204 夢と現実)

12/4/2024, 2:01:59 PM