ストック

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Theme:鏡の中の自分

「お前なんか生まれて来なければよかったのに」
そう言われ続けて育ってきた。
次男の俺が兄貴を差し置いて、次期当主に選ばれてしまったのだから。

街を歩けば、女性たちが花に群がるように蜜蜂のように群がってくる。
彼女たちの興味は俺自身じゃない。地位、俺に流れる血が欲しいだけだ。
俺はヘラヘラと愛想笑いを振りまき適当にあしらって、その場を後にする。
何も知らない人間から見れば、俺は女好きで軽薄な男に見えるだろう。

鏡は嫌いだ。
愛想笑いと薄っぺらい言動でどんなに取り繕ったところで、そんな虚像を砕いて憎悪に塗れた醜い本性を映し出すから。
鏡の中に映る自分の目には、世界へそして自分への憎悪が込められている。

鏡を叩き割りたくなる衝動を押さえ、俺は鏡から目を反らした。

こんな醜悪な俺は、人に愛される資格も人を愛する資格もないのだろう。
この血が定めた運命のまま、そのうちに適当な相手と政略結婚し子孫を残して、役割を終えて消えていくのみだ。
自分の血に定められた人生を生きる俺は、なんて下らない存在なのだろう。

ずっとそう思って生きてきた。
彼女に出逢うまでは。

~ Imaging Sylvain Jose Gautier (Fire Emblem: Three Houses) ~

11/3/2023, 12:29:42 PM