たくちー

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 身長と同じ長さの木の棒を杖代わりに歩く。水平線に平行に砂浜を歩く。石と石をぶつけて平たく尖った方を拾っていく。気分はネアンデルタール人だ。お供に犬がほしいと思う。街には誰もいない。数ヶ月前に世界規模の感染症が広まり、この地域にも避難警告が出されたからだ。私の免疫力は常人より遥かに高かったらしく、今までニートのような生活をしていたが、今は一応仕事として周辺地域の調査を行い生計を立てている。私にとっては見知らぬ街だが、見知らぬ誰かにとっては故郷なのだろう。そんな風に慮りながら再び歩き始める。



題『見知らぬ街』

8/24/2025, 7:12:08 PM