突然に逝ってしまうから。と思っていたけれど
もう長くはないこともわかっていた。まったく予測のできないことではなかった。
お見舞いには1回しか行っていない。管に繋がれて、瞳の焦点が合わないあなたが、現実なのだとわかってしまうことが怖かった。私は命と向き合えなかった。
ありがとう、なんて言葉で伝えきれるのなら、こんなに苦しい思いはしない。
でも、私はきっと、私が抱えているものより深く淋しい思いをあなたにさせてしまった。
焦点を合わせていないのは、私のほうだった。
そんな私が、あなたにできることはもう何もないから
あなたに伝えたかった「ありがとう」は、これからも誰かに返していくしかない。
5/3/2023, 10:33:39 AM