【現実逃避】(300字)
指は無意識のうちにスマホを持ち上げ、ソシャゲのアイコンに触れていた。
「あーだめ、こんなことしてる場合じゃない」
慌ててスマホを伏せ、机に広げた教科書へと向き直る。向き直ったところでさっぱり頭に入ってこない。期末試験、明日だったっけ。今さら勉強? 手遅れだ。
逃避している場合じゃないってわかってるくせに、つい逃避してしまう、そのせいでギリギリまで追い詰められてしまう。それが現実逃避の恐ろしさ。
現実を前にして部屋の掃除だの勉強だのに逃げていたから、我が家はすっかりゾンビたちに囲まれてしまった。
「姉ちゃん、脱出の準備終わった? って、まだ何もしてないのかよ!」
これから、現実でも逃避行が始まる。
2/28/2024, 12:45:40 AM