「花の香りっていいよな…」
そんな言葉をふと耳に入り横をふと見る。
そこには笑顔で花に鼻を近づけその香りを感じて
満面の笑みを浮かべる彼の姿がいた。
「なぁに?あんまり花に興味なかったんじゃないの?」
私が笑顔を見せながら少し嫌味ったらしい顔で見るその顔を
彼は見るとまた笑顔を見せる。
「そんな事ないさ…こうして花を見ると好きな人に花を送りたくなる気持ちになる」
「え?」
「俺がさ、この目の前にある綺麗な花を買って」
真っ直ぐと見つめるその目を逸らすことが出来ない。
一気に自分の心が早くなるのがわかる。
ドキドキとするその心臓の動きが体に一気に伝わる。
「君に渡したら、俺の気持ち伝わる?」
……そんな事されたら
私が出せる答えなんて1つしかないじゃない。
『好きだよ』
そう言ってるのと同じじゃん。
いつもなんでそうやって私の気持ち先読みして
カッコ良く見せて言っちゃうのよ……
「ね、もう気持ち伝わっちゃったよ…」
「けど言わなきゃわからねぇだろ?」
そこには彼の手に握られた一輪の花。
「ちゃんと買ったよ。俺の気持ち受け取ってくれる?」
彼女がその花を受け取ると鼻に近づける。
「凄くいい香りする」
「俺の気持ちも含まれてるけど?」
彼女がクスクスと笑う。
「私も好きよ、あなたのこと」
episode 『花の香りと共に』
3/16/2025, 12:46:09 PM