何気ないフリ1つで私は振り回されてしまうんだ。
先輩が、考えている。先輩が間違えている。何気ないフリしてまた戻ってくる。先輩を追いかけると毎日毎日新しい発見がある。先輩の癖や先輩の話し方。でも、いくら真似しようとそれは真似をしている自分でしかなかった。
あーあ、先輩見失っちゃった。
そう思った途端に先輩が走って来て、すれ違って行った。先輩の匂いが一瞬のうちに漂って、私はこの空気を、この時間を私のものだけにしたいと思ってしまった。振り返ると、先輩は首元を触っていた。先輩は今…。そっか、私の事、視界には入れてくれていたんですね。
何気ないフリして私に話しかける幼馴染くん。何気ないフリして私に微笑む幼馴染くん。何気ないフリして私の袖を引っ張る幼馴染くん。君にはいつも青春ってものを学ばせてもらっている。別に好きでもないし、嫌いでもない。ただ友達以上恋人未満ってだけで、こんなにもキュンとして胸を締め付けられるんだと毎度実感している。何気ないフリして、あの時、私に…しようとした君を今でも忘れているわけじゃない。本当は君でも良かったんじゃないかと思ってしまうくらいだ。でも、この気持ちは間違っている。だって、だって…
何気ないフリして優しくしてくれる君に勘違いして好きという感情を抱いてしまうのは、きっと間違っている、そう思うから。
3/30/2023, 10:54:24 AM