「傲慢で強欲、おまけに怠惰で嫉妬深い、貴方のその性格は最悪だけれど、絶対的な王者の素質、そのカリスマ性、『生徒会』の役員としての才能は天才と呼ぶしかない」
丁度1年前、私は共に生徒会として活動してきたA先輩にそう云われた。
その言葉は決して私を褒めたものでは無い。
自分の力を過信して、傲慢に振舞ってきた私の性格を非難する言葉だった。似たような言葉を私は先生にも云われたことがある。才能があると云うことは、良い事だ。私は先輩や先生から云われたその私の所謂『才能』を誇りに思っている。ただ、私の場合、その才能に性格が追いつかなかった。
私は生徒会活動に於いて、何時もその輪の中心に立ってきた。生徒会として何をすべきか、生徒会としてどう振る舞うべきか、私は分かっていたのだ。
みんなが私を賞賛してくれた。
だからこそ、自分の力を過信してしまった。
私はA先輩にそう云われた時、泣きそうな気分になった。
自分の性格が良いなぞおもったことない。だけれど、人にいわれるのは、しかも、ずっと憧れていた先輩にいわれるのは、また、訳が違ったのだった。
私は傲慢です。
私は強欲です。
そして、私は怠惰で、成功する友達に嫉妬ばかりしています。
才能を持ち出したとしても、私は周りの他のみんなの人望には勝てません。
私は変わりたかった。
絶対的な王者の背中を見せて後輩を導いてきたそのやり方ではなく、優しく寄り添い、仲間として、同志として接せる人になりたかった。
だから1年間、努力し続けた。
少しは変われたかしら。
良い先輩に、なれたのかしら。
私に才能を教え、そして私の性格を非難したA先輩は私のことを胸を張って『あの子は僕の後輩だ』と云ってくれるだろうか。
私は先生が誇れるような模範的な生徒になれたのだろうか。
1年前、私は変わろうと決めた。
まだ変われていないかもしれない。それでも、ああ、後輩たちよ。
先輩と呼ばれるに値しない私だからこそ、いえる。
私を反面教師としなさい。
私のように自分の力を過信して1人で突き進まないようにしなさい。
私は変わる、今から変わる、変わりたい。1年前の私と違う素晴らしい人間に。
その時までさようなら、また1年後までさようなら。
またお会いしましょう。
さて、グッドバイ。
6/16/2024, 12:50:32 PM