三羽ゆうが

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禍々しい雰囲気の要塞の中、青空まで吹き抜ける訓練場で今日も今日とて兵士達の訓練が行われていた。

「これ、今日勝った方デザート奢りな」

「今日はデザートやな、おっけ」

一際輝くバッジを胸元に付けた2人はそれぞれの得意武器を手に取ると一定の距離を開ける。訓練場に鳴り響く笛の音と共に2人の姿が一瞬で見えなくなった。

「……ふ、ちょっと遅ない?𓏸𓏸」

「喋っとる余裕なんてない癖にな……っ!」

煽りながらもお互い攻撃を交わし交わされ、金属音がけたたましくなり続ける。一般兵から見れば戦場と言うよりは、まるでお互いの動きを把握しているのではないかという程美しく踊っているように見えた。


数分後、決着がついたのか2人の動きが固まる。

「よっしゃ今日は俺の勝ちやな!」

「くっそ……今週は𓏸𓏸の勝ち越しか」

「来週も俺が勝つで」

「んや、譲られへんわ」

2人はにっ、と笑い合うと晩飯の話に花を咲かせながら嵐のように去っていった。


『踊るように』

9/7/2024, 12:10:05 PM