いぐあな

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300字小説

内助の功

 うちの課の課長は有能で人柄も良く、上司や部下からの信頼も厚い。お子さんはいないが奥さんとの仲も良好で冬は毎年、手編みのセーターを着ている。
「内助の功ってヤツなのかなぁ」

「ただいま」
 夫が帰ってくる。
「また妙な黒い影に付きまとわれたよ。昔懐かしオヤジ狩りって奴なのかねぇ。こんなオッサンを着けたって面白くないだろうに」
 苦笑する肩に憑いた陰をコートを預かるふりをして祓う。
 人柄が良すぎるせいか良縁も悪縁も引き寄せてしまう人。夜が長くなるこの時期は特に悪いモノに憑かれやすい。
「明日は休みですし、一本つけましょうか?」
「良いね」
 編みかけの魔除けの文様模様編みセーターを片付け、私は清めの酒をとっくりに注いだ。

お題「セーター」

11/24/2023, 10:52:08 AM