君の作品について、ここが良い!だとか、そこが良い!だとか楽しそうに話す部員と、それを聞いて満更でもない顔をする君を部室の片隅で邪魔しないように見守る僕。
あの人のように楽しく話せたら、といつも思ってしまう。作品への熱量は同等にあるつもりだ。でも言葉が上手く出ない。
「話さねぇと、始まんねぇぞ?」
突然後ろから頭に衝撃がはしり、持っていたスマホを取り落としそうになる。頭を小突かれたらしい。
振り返りながら抗議の意味を込めて睨みつけると、犯人は間違えて当たったと言わんばかりの実に白々しい表情で肩をすくめてみせた。
「全員が全員俺って訳じゃねぇんだから、努力はしろよな」
そう言い残し教壇へと向かう親友の背を前に僕は、無理だろとぽつりと呟いた。
「届かぬ思い」
4/16/2023, 2:48:01 AM