『日常』
いつか、どこかの道端に
小さな祠がありました。
朝日が祠を照らすころ、
犬を連れたおじさんが、祠の前を通ります。
「早く帰って朝飯にしよう」
犬もおじさんも、早足で帰ります。
夕日が祠を照らすころ、
カバンを背負った子供達が、列をなして通ります。
「今日の夕飯なんだろな」
黄色い帽子の子は、早足で帰ります。
月が祠を照らすころ、
スーツ姿のお姉さんが、通ります。
「今日は頑張ったから、おつまみも奮発しちゃおう」
ヒールのお姉さんは、早足で帰ります。
祠の中の神様は、
誰も言葉にしなかった
日々に溶けてる願い事を
どれほど聞き届けてくれたのだろう。
6/23/2023, 5:31:58 AM