『スマイル』
「どうしたの?」
「何でもないよ」
「……」
「本当に何でもないの……」
「何があったかは分かんないけど、僕はキミが笑ってる顔が好きだよ」
「……何? 急に……」
「ナイススマイルが見たいから、これあげる!」
「え?」
ニカッと笑った彼は、私の手に紺色のハンカチを置いて足早に去っていった。何だよ、ナイススマイルって。彼の言葉があまりにもくだらなくて笑えた。それと同時に涙が溢れてしまい、私はそのハンカチで涙を拭いた。
走り去る前に見せた彼の顔はナイススマイルだった。
______やまとゆう
2/9/2024, 2:16:28 AM