彼は自販機で買ったサイダーを飲みながら、屋上で一言
「青春だなぁ」と呟いた。
中学の頃から片思いをしていて、猛アタックして何とか付き合えた彼と、よく昼休みは屋上で共に過ごす。
その日もいつもと変わらず、ただ、時が過ぎるのを他愛もない話をして待っていた。
チャイムがなった時。
彼がふと呟いた言葉に私はクスッと笑って「こんなのでも青春かぁ」と言いながら振り向く。彼の背中には大きな入道雲が重なっていて、どこからか桜の花びらも舞っている。
そんなある日の青い春。
─入道雲─
6/30/2023, 4:25:49 AM