ショートピース

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それは決して幻なんかじゃなくて、確かに在った現実だった。掛け違えたボタンを直せないまま我々は離れ離れになってしまったけれど、全力で走り抜けた時代が間違いだったなんてことは絶対に思わない。今は君の手を離すけど、いつか、いつか先の未来で再びその手を取ることが出来るように僕らはこの街の片隅で頑張るから。君と見た景色を、正直思い出せずにいる。思い出したら苦しくなってしまう。それは君も同じであってほしい。苦しくて、悲しくて、酷く後悔していればいいとさえ思う。この選択に後悔がなかったかといえば、嘘になるね。もっといい方法が、誰も苦しまない解決策がきっとあったんだろう。結論の先延ばしになってもそうすべきだったのかもしれない。けれど、あの時はきっとこれが最善だった。

だからさよならだ。

いつか、君と見た景色をちゃんと思い出せるように今を走り続けなきゃ。

3/21/2025, 5:37:09 PM