「今日は天気がいいね。お散歩日和だ。」
『そうだね。とても暖かい。』
車椅子に乗っている君。
それを押している僕。
治る確率がとても低い病気の中、
君は余命宣告をされた。残り1ヶ月。
そんな君は、悲しんだり、泣いたりせず、
ただ『最後まで光に包まれていたい。』
そう願った。
僕はそんな君を放っておけなかった。
だから今日も、暖かい光の中で散歩している。
本当はこんな天気の話をしたい訳じゃない。
僕が本当に言いたいのは、
「助かるように祈ろうよ」と、
「低い確率でも信じようよ」と、
ただそう言いたいだけなんだ。
そんな簡単なことが言えないのは、
きっと君が『光に包まれていたい』と願った時から、
もう君の中に光がないことがわかってしまったからかもしれない。
もし『助かる』と言う光を見せて、
助からなかったら僕は君を殺したも同然だ。
そんな君に恨まれるようなことを、裏切るようなことをしたくないから。
5/31/2023, 3:12:48 PM