あの子がいなくなってしまった朝、ボクは寂しくて、膝をかかえて泣いていた。涙がぽとり、と落ちた場所に、小さな小さな石があった。なんとなくその石を見つめていると、石がボクを見つめ返して、笑った。
その朝から、その小さな小さな石とボクはいつも一緒だった。寂しくなると右ポケットに手を入れ、石をそっとなでる。そうすると、とてもとても安心するのだった。
街では争いが続いていて、とうとうボクも戦いにいくことになった。幼い子どもも兵士になる、この世はなんて残酷なんだ。
あちらこちらで人々が倒れていき、周りにはなんにもない。ボクももう動くことができなかった。必死で右ポケットに手を入れる。石を取り出し、飲み込む。涙の味がしたが、もう寂しくはなかった。
11/11/2025, 1:00:23 AM