はす

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美しい

「百年、私の墓の傍に坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
 自分はただ待っていると答えた。すると、黒い眸のなかに鮮に見えた自分の姿が、ぼうっと崩れて来た。静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。



初めて、文章を読んで美しい、と感じたのが、この『夢十夜』だった。今でも繰り返し読んでいるぐらい好き。上の文は特にお気に入りの言葉。初めて読んだ時、本当に自然と涙が出た。なんて綺麗な言葉なんだろうと。

6/11/2025, 4:17:04 AM