なんでもない同士のための / 鐘の音
「別にさー、恋人同士でしか鳴らしちゃいけない決まりなんてないよねえ」
海の見える丘に設置された、小綺麗な『恋人たちの鐘』。
……を、ハチャメチャな勢いで豪快に鳴らした、男友達。
「うるせっ」
甲高い、ふざけた調子の鐘の音が、海辺の公園に響き渡る。キンとした音に思わず顔を顰めれば、あいつは俺の顔を見るなりカラカラと笑った。
「もう一回、僕と一緒に鳴らしてよ」
「なんの意味が?」
「君の面白い顔が見れるでしょ」
「……お前の面白い顔も見せろ!」
8/5/2024, 10:37:59 AM