1年前の僕。
1年前の僕を嘘偽りなく話そう。
簡潔的に言うと死のうとしていた。
毒親とまではいかないが変なところで厳しい親に育てられた。
それの積み重ねが耐えきれず
僕は気がついたら廃校舎の屋上に向かっていた。
――先客がいた。
フェンスの向こう側に立つその子は僕がドアを開けると、力無く振り向いて
「君も……?ふふっ、私と一緒だね」
と言った。
この死に間際で笑ったのだった。その儚げな笑顔に惹かれた。
この子をここで死なせちゃいけないと、咄嗟に言葉が出た
「君となら生きていける気がする。」
「え?」
「なんだか、、なぜか分からないけど、そんな気がする。今更だけど僕と生きてみないか?」
そして、僕は今、間違いなく"現在(イマ)"を生きている。
君と一緒に。
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1年前の私。
1年前の私は死んだように生きていた。
親や先生の期待という名の重圧に押しつぶされて私は死を決意した。
廃校舎の屋上。私が小さい頃から幽霊が出ると噂のこの校舎は人はそうそう近寄らない。
誰にも迷惑かけない死に場所だと思ってここにした。
さぁ死のう。
その時後ろの方で音がした。
疲れきった表情の君が少し驚いた顔で私を見ていた。
「君も……?ふふっ、私と一緒だね」
そんな言葉がこぼれ落ちた。
「君となら生きていける気がする。」
「え?」
「なんだか、、なぜか分からないけど、そんな気がする。今更だけど僕と生きてみないか?」
君にそう言われた時、私はなんの冗談だと思った。
同時に私の居場所はここだと思った。
そして、私は今、間違いなく"此処(イマ)"を生きている。
君と一緒に。
6/16/2023, 10:40:55 PM