同じ茎から同じ花を咲かせていた。
淡い水色の小さな花。ひとつでもとても可憐に見えるのに集まっていると、妖精のブーケの様でかわいらしい。私が目に止めたものはぎゅっと寄りすぎな気もする。
「案外、寂しがりやさんなのかな」
周囲の花壇にも同じ花が咲いて、背の高いものがポキリと折れてしまっていた。
重みか風か、それとも小動物のいたずらか。これでは萎れてしまう。
「寂しいかもしれないけど、私の部屋にどうそ」
浅い花瓶と言えない容器に1本だけ差した。部屋が花を中心に色付いた感じがする。こんなに小さな花なのに。
ポキリと折れてしまった『勿忘草』は私が持ち帰るとき大急ぎで「私を忘れないでね」と、花壇の友人達に告げていたのかもしれない。可哀想なことをしたかも…。
花言葉になぞらえて彼に話すとそっと容器を持ち上げて
「ここなら花壇が見えるよ」
窓際に移動させ、友人達に会わせてくれたのだった。
2/2/2023, 10:51:32 PM