しそひ

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心の健康

「ただいまー」
「おかえ……兄さん、今日も怪我してる」
「マジで階段で五段くらい上から転がっただけだから大丈夫ー。澪和は?学校楽しかったかー?」
「普通」
「普通が一番。よかったよかった」
兄は楽観的だ。不運がつきまとっているかのように、ほぼ毎日体のどこかしらに絆創膏やら包帯やらがある。
「痛くないの」
酷い様子のときもあるため、月に一回くらいはこの質問をしなければならない。
「痛いは痛いけどなーまあしょうがないって感じ」
そう言っているとき顔は大体ヘラヘラしている。しかも本心からしょうがないと思っているようで、私は何も言えなくなる。
嫌なんだよな。兄さんはただ優しく健やかに生きているだけなのに運だけが味方をしないだなんて。
モヤモヤする。不平等だと思う。神様はつい最近までいると思っていたけれど、最近は信じられなくなってきた。
兄さんは優しいから全てを許してしまう。だから私は許さない。
私だけのうのうと生きているなんて嫌だ。でも、兄さんは元気に過ごしてる澪和が大好きだって言ってくれる。
兄さんが言っているのは外ヅラだよね。体調を崩していそうになきゃ大丈夫なはず。兄さんは体の不調。だから、私には心の不調を。
やっぱり兄妹こうでなきゃ。同じ不調の状態でいればもっと思考回路が把握できるはずだよね。

「れいか〜?考え事?偉いなあ本当に。俺も考えなしで行動しないよう気を付けなきゃな〜」

8/13/2023, 2:23:31 PM