シンビジウム

Open App

【おもてなし】

「お茶、どーぞ」

「あ、ありがとう」

「それで、話って?」

にこりとも口角を上げずに、まっすぐ目を見つめた。
身体が強張る。唾を飲み込む。
背筋が伸びる気がした。

「……好きです。付き合って、くれませんか」

頭を下げて、目をつぶった。
顔が熱くなる。耳だけ取れそうなほど熱い。

「……あのさ、」

ため息をつきそうな、呆れたような声が響く。
パッと顔を上げれば、お茶の水面が揺れていた。

「私がだめって言うとでも思った?」

「……え」

「ずっと好きだよ」

照れたように笑った。
やっぱり、笑顔が似合う。
太陽のように明るくて、月のように美しい。

「これからも、よろしく」

10/29/2025, 9:59:24 AM