かたいなか

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「基本、生き物系のお題、少ない気がする」
猫だの犬だの兎だの、これまで約5ヶ月、お題で見た記憶無いもんな。
某所在住物書きは今回配信分の題目の、ちょっとした珍しさに数度小さく頷いた。
「『鳥かご』ってお題は有った。『鳥かごの中の鳥は、大抵かごから出されて、最終的に自由になるのが物語のお約束な気がする』ってネタ書いた気がする」
鳥のように。……とりのように、ねぇ。
物書きは長考して、ふと某呟きの青鳥を思い出し……

――――――

雨降って、空が灰色で、ジメジメして、最高気温が猛暑手前予報。今日も相変わらず東京は残暑が酷い。
「晩夏」っていつだっけ、どんな気温の頃のことだっけって、思う程度には暑さがバグってる。
きっと職場の、長い付き合いの先輩の、故郷だっていう雪国は、もう涼しくて快適なんだろうな、
って北海道とか東北とかの気温調べたけど、今日の札幌市の予想最高気温が東京と同じ34℃だって分かって、心の中で道民さんに猛烈に土下座した。
十分雪国の筈の秋田県も、今日35℃超えだって。
なにそれ季節感ホントに仕事して(嘆願)

そんな今日の、私の職場の朝は一部騒がしかった。

「中途採用の、若いのがいただろう」
職場に来たら、私の隣の隣の部署が、朝から少しだけ慌ただしくて、
係長か主任か知らないけど、数人が課長の席に集まってたし、他の人はスマホで連絡取ったりしてたし。
「無断欠勤のうえ、電話もグループチャットも、全部連絡つかずの既読無視、だとさ」
どしたの、何があったの。
隣部署の宇曽野主任と話し込んでるウチの先輩に、会話の横槍で聞いたら、「実はな」って、情報提供してくれた。

「始業時刻丁度にダイレクトメッセージで、『辞めます』の4文字だけ、送ってきたそうだ」
先輩が言って、
「部署内で、『例の突然解雇された青鳥のようだ』と騒いでる最中さ」
宇曽野主任が補足した。
「『突然の告知で、何の事前相談も無く消えた』。『向こうは解雇でこっちは離職。正反対だけど青鳥のように消えた』と」

突然辞めるのはどうかと思うけど、そうしたくなった理由は、だいたい把握してた。
先日の「デカいミス未遂」だ。
メタいハナシをすると、詳しくは今月の18日。
中途採用君は、書類をファイルから抜いて整理する仕事を任されたんだけど、
中途採用君の上司が「この書類は抜かないで」って、伝えるべき「例外」を伝えなかったせいで、抜いちゃいけない書類まで抜いちゃった。

情報伝達の不備。それによる仕事のミス。なのに責任は全部自分が被るっていう理不尽。
私も5ヶ月前、3月18日頃に、似た状況で上司から責任を押し付けられて、心をちょっと病んだ。
私には先輩がいて、先輩が私の話を聞いて寄り添ってくれたから、乗り越えられた。
中途採用君には誰も居なかったのかもしれない。

「まぁ、鳥なら鳥として、鳥のように、自由に今頃次の就職先でも探してるんじゃないか?」
運が悪かった、場所が良くなかった。それだけさ。
宇曽野主任はそう付け足して、先輩と一言二言会話して、自分の部署に戻ってった。
「うん……」
場所が悪かったら、鳥もうまく、飛べないもんね。そうだよね。
隣の隣の部署の、まだ静まってない騒動をちょっと見てから、
私もそろそろ自分の鳥かごの中で飛ばなきゃ、鳴かなきゃって、自分の止まり木であるところのデスクに戻った。

8/22/2023, 4:07:11 AM