雪だるま

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「なあ、」
「」
「なあって、」
「」
「いるんだろ?クロ」
「にゃ~ん」
「はぁ…。お前いつまで俺に憑いてるつもりだよ」
「にゃ?」
「とぼけんじゃねえ。てかお前フツーに喋れんだろうが」
「だって僕ネコだからさ」
「『かつてネコだったモノ』だろ」
「まあまあ、いいじゃんそんなことはさ。君だって、かわいい僕といつも一緒にいれるのは嬉しいでしょ?」
「…お前、自分で自分の事かわいいとか言っちゃうタイプなのな。まあかわいいからいいけど」
「にゃ~ん♪︎」
「話そらすんじゃねえ、お前が取り憑いてからというもの、俺は大変なんだ」
「そうなの?」
「ああ、俺は元々霊感なんて一ミリもなかったのに、今では変なモノがうじゃうじゃ見えるようになっちまった」
「えへへ~」
「褒めてねぇよ、何とかしてくれよ…」
「大丈夫だよ、その辺にいるのは悪い人じゃないから。もし悪い奴がいても、僕が"シャー"って追い払ってあげるから、ね、安心でしょ?」
「これっぽっちも安心できねぇよ。だいたいお前が元凶なんだぞ。あいつら、お前のこと見て"かわいい""かわいい"って寄ってくるんだよ、わかってんのか?」
「にゃ~ん♡」
「かわい子ぶるんじゃねぇ、生きてた頃、俺には"ツン"オンリーだったくせに」
「フフン、」
「お前は死んだってのに一緒にいすぎて、最近じゃお前が死んだ日のこと忘れかけてるんだぞ、俺。ちゃんと弔わせろ」

「…本当?」
「え?」
「もう僕が死んだ日のこと思い出して泣かない?」
「クロ…」
「僕がいなくなっても、ちゃんと笑える?」
「…当たり前だろ。お前が望むならやってやるよ」
「ん、わかった~、バイバイ!」
「おいおいおい!?…行っちまったよ。全く最後まで気まぐれな奴だ」

──生きていた君に最後に会った日のことなんて、忘れられるわけないだろ。これからもずっと、覚えといてやるよ。



「おーい!そっちで新しい服に着替えたら、また俺に見せに来いよ!…気が向いたらで、いいからさ」

(君と最後に会った日)

6/27/2023, 1:25:31 AM