川原

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「沈む夕日」

母方の実家に行った帰りには いつも
電車の窓からあかあかと下りゆく儀式に歓声を上げた
あの頃 座席の隣りには母がいた

学校へ上がる前の幼児が
駅の名前を十も覚える程には 頻繁に
何故いつも父の車ではなく
電車で里に帰っていたのか

遠い記憶を辿っても
母の表情は思い出せず
尋ねる相手も もう居ないが
夕日という言葉で思い出すのは
あの頃見ていた 窓から見える日没



4/7/2024, 10:50:49 AM